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Insidious: Chapter 2 インシディアス 第2章

アメリカ映画 (2013)

タイ・シンプキンス(Ty Simpkins)が、『インシディアス』に続き、ダルトンを演じるホラー映画の続編。部分的な出演であることに変わりがないが、重要度は増し、メイン・ストーリーに絡む形での役柄になっている。映画は、前作と時間的に連続しているが、製作は3年後、しかし、2人の子役ともあまり違和感がない。最初から11-12才だとこうはいかない。

映画は、前作のような意外性はないが、前作との “すり合わせ” は非常に巧みにできていて、2作合わせて1本の作品のようだ。前作で、寄生体に乗っ取られた父を、いかに解放するかが見所だが、ホラー度は前作よりずっと増している。Rotten Tomatoesの評価が66%から38%にダウンしたのは、ストーリーが複雑すぎてフォローできなかった評論家が多かったせいではないか?

タイ・シンプキンスは、11-12才。一番少年らしい年頃だ。出番は少なくても、活躍度は高いので、様々な表情が見られる。あらすじは、タイの登場場面を中心にしつつ、ある程度全体も記述している。


あらすじ

映画の冒頭、いきなり、前作『インシディアス』の主役だった父親ジョシュの子供時代に戻る。家を訪れたのは若い頃のエリーズ。協力者のカーターを連れている。ジョシュはエリーズから催眠状態で「周りを見て、何が見える?」と訊かれ、「僕自身が。ベッドで寝てる」と答える。幽体離脱の状態だ。「寝室にいるの?」。「違う。どこか暗い所」。「一人きり?」。「違う。彼女がいる」。最初は何のことか分からないが、実は、これが最も重要な伏線となる。「今、この瞬間、彼女はどこにいるの?」と訊かれ、ジョシュの寝室の衣装タンスまで確認に行ったエリーズは、腕に傷を負ってしまう。エリーズは、“彼女” が邪悪な存在であると断じ、そのような存在にまとわりつかれている状態を止めるため、記憶を封じることにする。この最後の逸話は前作でも紹介されていた。エリーズと母がこの話をしていると、突然ジョシュが立ち上がり、左後方を見て「教えるよ」と言い(1枚目の写真)、歩いていって、あるドアを指す(2枚目の写真)。ドアがギーッと開き始めたところでタイトル。この「教えるよ」というやり取りも、非常に重要な伏線だ。
  
  

そして、話は現在に戻り、前作の最後、父ジョシュに乗り移った寄生体によって絞殺されたエリーズについて、警察署での取調べシーン。ここからは、前作と完全に連続している。ヒット作の2作目だと、とんでもない展開となるものが多いが、ここでは見事なまでに話が連続している。警察は超常現象など信じないので、絞殺の容疑者No.1は父となり、エリーズの首に残された手形が父のものと一致するかを法医学的に判断することになるが、結果が出るまでは帰宅が許される。父ジョシュの祖母の家〔かつて、ジェイクが子供時代を過ごした家〕で、待っていた子供達と再会する(1枚目の写真)。ここで弟が父に見せているのが金属缶でできた糸電話。最後まで何度も登場する重要な道具である。ダルトン達兄弟が寝るのは、父ジョシュの子供時代の寝室。そして、ダルトンのベッドの真向かいには、例の衣装タンスがある。何が起きてもおかしくない環境だ。父がお休みを言って消灯した後で、弟が糸電話を見せる。「下らない」。「ねえ、よく聞こえるんだ。いくつか訊くから、いいでしょ?」。「じゃあやるぞ。糸をピンと張らないと。下がれ」。「これ どう思う?」。「下らないと思う」(2枚目の写真)。実は、最後には、これで命を救われるのだが。
  
  

明くる日から発生する異常な現象。妻は神経が切れそう。なのに、夫は取り合わない。息子を取り戻せただけで十分だと言う。一方、エリーズの元助手2人は、エリーズの自宅を訪れ、そこで、かつてのジョシュのビデオを見つける。ビデオを再生し、中でも、ジョシュが「教えるよ」と言うシーンに着目する。「一体誰に言ってるんだ?」。確かに、ジョシュの左に何かが映っている。さて、祖母がダルトンの寝姿を見に来ると、眠ったまま、「後ろに誰か立ってる」と呟く。サイドボードのスタンドを点ける祖母。あちこち見回り白衣の姿を見るが、そこにジョシュ〔現在の〕が現れ、何事もないと強調する。翌日の朝、ダルトンは元気がない。母に「どうしたの?」と訊かれ、「怖い夢を見た」と話す。「寝てると、おばあちゃんが来て、他にも誰かが部屋にいた」とも。それを裏付けるように、昨夜のシーンが流れ、そこでは、背後に白い衣の女性が映っている(2枚目の写真の左端)。
  
  

ダルトンは、さらに、「起きなくちゃと思った。ちょっとかかったけど、起きたんだ」「廊下から声が聞こえた」と話す(1枚目の写真)。そして、ベッドから起きてこっそり見に行くと、父が、「行け、いなくなれ。去れ」と誰かに言っているのを目撃する。そして、姿を見られたかと思い、壁にはりついて身を隠す(2枚目の写真)。このような父の姿を見てしまったので、母に、「パパ、どこか悪いの?」と心配して訊くが、母は「いろいろあったから」と否定し、「ただの夢よ」となだめる。
  
  

祖母は、ジョシュの言葉が信用できず、2人の助手を訪ね、「昨夜、誰かが家にいた」と訴える。助手は、少年時代のジョシュが「教えるよ」と言った時の映像をコンピュータ処理したものを祖母に見せる。何と、少年の左には、現在のジョシュが映っていた。つまり、ジョシュ少年は、未来から幽体離脱で過去に来た自分自身に向かって、話していたのだ。この段階では、その理由は明かされない。代りに、エリーズの協力者だったカーターが現れ、アルファベットの刻まれたサイコロ占いでエリーズを呼び出し、寄生体と廃院になった病院との関連を示唆する。さっそく調査に訪れた病院で見つかるおぞましい事実〔寄生体となった男には、その男を子供の頃から少女として育てようとしてきた鬼のような母親がいて、その母が悪霊となって、今でも男の行動を支配していた〕。一方、祖母の家では、妻が寄生体に襲われ、床で気絶している。夫の体は、寄生体により蝕まれ老化が始まっている〔この部分だけは、説得力に乏しいし、不要だと思うのだが…〕。老化を止める唯一の方法は、一家の惨殺。そこで寄生体は妻に嘘を並べ、安心させようと務める。そして、ダルトンは、寝ていると名前を呼ばれる。眠りながら、弟だと思い、糸電話をたぐり寄せ、「何だ?」と訊く。「見せたいものがあるの」。「やめろ、フォスター。寝てろ。2人とも叱られるぞ」〔弟の名〕。「フォスターじゃないわ」。その声で、ダルトンはハッと目が覚める(1枚目の写真)。スタンドを点ける。フォスターは眠ったままだ(2枚目の写真)。糸電話の先は、フォスターではなく、衣装タンスの中に入っている。いきなり糸が引っ張られ、タンスの扉が開く(3枚目の写真)。
  
  
  

ダルトンが、糸電話で「誰だ?」と訊く。「彼が殺した女性たち。たくさんいるの」。「何の用?」。タンスからいきなり飛び出てくる男(1枚目の写真)。恐怖心はないものの、何事かと思うダルトンのクローズアップ(2枚目の写真)。次の瞬間、ベッドの前には大勢の女性が出現した〔すべて、寄生体となった男に殺された女性達〕。ダルトンが気付くと、ベッドに自分が寝ている。つまり、自分は今、幽体離脱しているのだ(3枚目の写真)。ベッドに飛び込み布団を頭から被る。亡霊と戦っていると、いつしか朝となり、母が暴れるダルトンをなだめていた。思わず母に必死で抱きつく(4枚目の写真)。廃病院にいるはずの惨殺された女性達がなぜダルトンの夢の中に現れたかの説明が何もない点は不満だが、タイの登場する機会がずっとなかったので許される。この先、また30分、出番がないし。
  
  
  
  

その後、①廃病院での捜索の続き、②カーターと寄生体の対決、③異界でのカーターと幽体離脱した父の魂の出会い。④そこで、父の経験する不思議な体験〔前作で、ダルトンが昏睡状態に陥って自宅療養となってから、勝手に玄関の扉が開き、セキュリティ警報が響き渡った夜の事件で、玄関の扉を開けて侵入したのは幽体離脱した現在の自分自身だったという事実。確かに、前作では、誰が家に侵入したかは最後まで明らかされなかったのでなるほどとは思わせる〕、と話が進むが、一番重要なのは、異界でのエリーズとの再会。彼女がいないと悪霊とは戦えないから。エリーズは、女の悪霊がいる場所を捜し、その記憶を利用して寄生体を引きずり出すしか途はないと告げる。そして、その “場所” は、「あなただけが知っている」と。現在のジョシュは覚えていないので、少年時代のジョシュに訊くしかない。そこで、映画の冒頭のシーンに戻る。少年のジョシュは、左後方に出現した現在のジョシュの魂に向かって、「教えるよ」と言ったのだ(1枚目の写真の左端)。そして、悪霊の棲む場所を指し示す(2枚目の写真)。カーターがドアを開くと、その先には赤い扉が現れる
  
  

一方、現実の世界。夜。祖母と妻が、家を訪れる。日中にカールと助手2人が、寄生体を上手く処理したと思い、安心して戻ってきたのだ。しかし、その2人を迎えに出た夫は寄生体だった。明らかに異様な様子に慄く2人。寄生体は2人に襲い掛かり、それに対して2人は逃げまどう。祖母は部屋に閉じ込められ、妻が最初のターゲットにされる。妻は、キッチンに追い詰められ必死で抵抗するが、ヤカンを頭にぶつけられて転倒。そこに子供達が到着する。床に横たわり首を絞められている母を見て、果敢にバットで殴りかかるダルトン(1枚目の写真)。2発目でバットは奪われてしまうが、危ないところをかわして(2枚目の写真)、母と3人で地下室に逃げ込む。
  
  

異界の側では、父の魂、エリーズ、カーターの3人が敵の本拠地へ乗り込んで行く。一方、地下室ではダルトンが、母に、「ママ、僕ここで眠って、パパを捜しに向こうの世界に行くよ」と言い出す。「ダメ、危険過ぎるわ。一度あなたを失いかけたでしょ。あんな思いは二度としたくない」。「見つけられるよ。約束する」(1枚目の写真)。そして、階段の下の隙間に入って眠る(2枚目の写真)。眠りについて幽体離脱すると、そこは異界〔階段の形やイスが同じ〕。ダルトンは立ち上がり(3枚目の写真)、そのまま赤い扉へと向かう。そして、入る前に、途中で迷わないよう、例の糸電話の具合を確かめる(4枚目の写真)。
  
  
  
  

異界では、父の魂に女の悪霊が襲いかかる。一方、ドアを打ち破って地下室に入った寄生体は、眠っているダルトンを殺そうと金槌を振りかざす。その時、エリーズが、悪霊の頭めがけて、力まかせに揺り籠を何度も叩きつけた。衝撃で消えていく悪霊。それと同時に寄生体も父から出て行った。後は、何とか元の世界に戻ればいい。そこにダルトンが助けに現れる(1枚目の写真)。「家に連れ戻しに来たよ」。「どうやって見つけた?」。「足跡を辿って」。地下室では、眠ったままのダルトンを抱いた母が、「お願い、目を覚まして」「どこにいるの? 戻って来て」と泣いている(2枚目の写真)。異界にいるダルトンの糸電話からは、「戻って来て」という母の声が聞こえる。「ママの声だ」。そして、糸をたぐりながら「ついてきて」と言って決然と歩き出す(3枚目の写真)。
  
  
  

咳き込みながら突然目を覚ましたダルトン(1枚目の写真)。そして、倒れていた父も目を覚ます。最初は、本物の夫か寄生体なのか分からないので不安そうに見る妻(2枚目の写真)。最初に本物だと確信したダルトンが、「パパ」と言って抱きつく(3枚目の写真)。「パパ、戻ったんだね!」。「そうだ。お前のおかげだ」。こうして一家に平和が戻った。
  
  
  

最後は、忘れる儀式。カーターが、父とダルトンの2人を並ばせ、目を閉じさせ、催眠術をかける。もう二度と、2人が幽体離脱しないように。
  

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